ある詩集より
近頃寒いので、毛布にくるまって本を読む。
ウトウトして眠ってしまえれば、それはそれで幸せなことかも、かもね。
本を読む…というか、ぱらぱらページをめくって、目に留まったとこを気ままに見ていくという感じで。
現代のいろいろな詩人達の詩を載せた詩集みたいな雑誌より。
「そこに在る何か」
やがて来る姿のない何かよ
僕はいつものように
静かに待ち受ける
色も形もない何かに
飲み込まれ溶けていく
嬉しいも悲しいも
全部消えてゆく
真っ白なその瞬間を
それがいったい
どうしたと言うのだ
大したことではない
痛いも痒いも
何も感じないことすらあるのだから
それは無か空虚か
昼も夜も関係ない
気づけばそこに在るのだ
心の隅っこに現れる
決して消えることのない
白い闇
僕が僕であるための
特別な意味があるのだろう
それを時おり
愛しいとさえ思えるのだから
そこに在る何か
恐れることはない
それはもともと
そこに在っていいものなのだよ
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